「審美歯科」カテゴリーアーカイブ

最先端 ≠ 最良

 歯を失った原因や部位は、人それぞれで異なります。失った歯を復元して機能を回復させる治療のことを欠損補綴治療といいますが、この補綴治療の難易度は、歯を喪失した原因と喪失部位によって変わり、歯を喪失してから経過した時間が長くなればなるほど難症例へと移行します。例えば喪失原因である虫歯と歯周病を比べると、歯周病に罹患している人ほどより短期間に難症例へと移行する傾向にあります。歯周病に罹患している場合は、顎の骨の歯を支える力が弱くなっているので、より早く咬み合わせの変化が起こってしまうからです。このように歯を失ってから生じた歯列や咬み合わせなどの変化が、大きければ大きいほど治療は困難になります。
 
 欠損を人工の歯で補う場合、まず歯を失ってから生じたひずみをどれ位改善する必要があるのかを一口腔単位で診断する必要があります。この診断結果にコストや時間的制約など患者様の希望を照らして前処置の内容を検討し、口腔環境の改善を行います。その改善の度合によっては、最先端の欠損補綴治療がいつも最良であるとは限りません。局所の条件が最先端のインプラント治療法の適応であっても、口腔機能全体からみた場合には、従来法のインプラントやブリッジ、入れ歯の方が望ましく、満足のゆく結果が得られる場合も多いのです。
 
 すべての医療に共通することですが、最先端の治療法が患者様にとって常に最良であるとはいえません。治療の選択肢を十分に理解し検討され、場合によってはセカンドオピニオンを求められることも大切です。
 
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インプラント?              
 
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ブリッジ?              
 
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入れ歯?              
 
*写真はすべて患者様の許可を得て掲載しています。

高精度セラミックスで自然で美しい変化を

人工の歯を装着すればいつまでも自然感が保てるというわけではありません。
 
経時的な変化は必ず起こります。
 
装着後の期間に関わらず外観や機能に著しく問題が生じた場合は新しい歯に交換する必要があります。
 
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装着時の自然観を得るために大切なのは光のコントロールと歯肉との調和。
 
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そして将来の変化の仕方は前処置と装着時の精巧さにかかっています。
 
人工物である限り変化は必ず起こりますがそれは天然の歯も同じこと。天然の歯と人工の歯の経時的な変化の仕方の違いが将来の不調和の原因となるので、できるだけ同じような変化を起こすように工夫することが大切です。
 
そのためには装着時の適合や咬み合わせの精度が重要であることはいうまでもありません。
 
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人工の歯同士をつないだりあまり咬ませないように調整したりして変化をさせないように工夫するのではなくて、いかに自然で美しく変化をさせるかが大切だと思います。
 
*写真はすべて患者様の承諾を得て掲載しています。
 

オールセラミックス~光を通して蘇らせる

神経の無い歯は暗く変色している場合が多いので、歯と同じ色調の人工の歯を装着する場合は、歯の内部や歯ぐきへより光を透過させる工夫が必要です。光が遮断されると人工の歯や歯ぐきに暗い影ができて自然感が損なわれやすいからです。
 
神経のない歯に光を通しやすい半透明の支台(コア)を装着して、金属などのコア材を必要としないオールセラミックスを人工の歯に使用すると、神経の無い歯でも十分な量の光を通すことができるので、歯冠も歯ぐきも生きた天然の歯と変わらない自然感が得られます。
 
光をコントロールして人工の歯を装着すれば、神経の無い歯もみずみずしく蘇ります。
 
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*写真はすべて患者様の承諾を得て掲載しています。(e.maxプレス例)

 

前歯のインプラント

インプラントの長さや直径には、様々なサイズがありますが、水平的な断面はどれも正円形です。一方、天然の歯の根は、いずれの部位も正円形ではありません。特に歯ぐきに近い部分の天然の歯根の断面は、長円形(楕円形)に近い形をしています。ですから、インプラントで人工の歯を製作する場合は、正円形の断面から長円形へと移行させながら形態を調製しなければなりません。
そこで重要なのは、インプラントの頸部のサイズと位置です。インプラント頸部のサイズが細くて、埋っている位置が内側で深いほど、形態付与の自由度が高まります。

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前歯部など審美的な配慮が重要視される部位ではこの配慮が特に重要です。正円から長円へ移行するための自由度が少ない場合は、歯の立ち上げりが不自然で、歯ぐきも退縮して(下がって)しまう場合が多いので注意が必要です。以前は、このような細くて深く埋められるインプラントシステムは、アバットメント(支台)との連結強度不足や、同じ位置への復位のしにくさ等の問題があり、技工作業が困難極まりましたが、最近はそれらの問題もほぼ解決され、非常に高い精度で審美的なインプラントの人工歯を製作することが可能となっています。

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現在のインプラントの潮流は、審美領域においては、「頸が細くて深く埋められるインプラントシステム」であるといえます。

*写真は患者様の承諾を得て掲載しています。

セラミックス治療 -光を通して蘇らせる

神経の無い歯は暗く変色している場合が多いので、歯と同じ色調の人工の歯を装着する場合は歯の内部や歯ぐきへより光を透過させる工夫が必要です。光が遮断されると人工の歯や歯ぐきに暗い影ができて自然感が損なわれやすいからです。神経のない歯に光を通しやすい半透明の支台(コア)を装着して、

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金属などのコア材を必要としないオールセラミックスを人工の歯に使用すると、
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神経の無い歯でも十分な量の光を通すことができるので、
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歯冠も歯ぐきも生きた天然の歯と変わらない自然感が得られます。
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光をコントロールして人工の歯を装着すれば、神経の無い歯もみずみずしく蘇ります。