5年先も10年先も、患者さまに寄り添い、
責任をもってお口の健康を守ります。
歯を失うと、歯を支えていた骨は徐々に吸収して顎の高さが減っていきます。ですから、
著しく吸収した顎の骨に埋められたインプラントに支えられる義歯は、失った歯だけでな
く吸収してしまった顎の骨(歯ぐき)も再現しなければなりません。
人工の歯の並ぶ位置は、咬み合わせによって決定されるので、インプラントと人工歯との
位置的関係は明確です。インプラントと人工の歯の位置的関係が決まれば、それらをつな
ぐ歯ぐきの形態は容易に決定されると思われるかもしれませんが、歯ぐきの形態はそんな
単純に決定されるべきものではありません。
歯ぐきの形態に過不足があると、頬や舌、唇の自然な動きが妨げられるので、食品を円滑
に人工の歯の上に運ぶことができなかったり、頬や舌を咬みやすくなったりします。また、
顔貌など外観にも大きな影響を及ぼします。歯の並ぶ位置が決まったら、仮歯などを用い
て歯ぐきの形態をチェックする必要があります。仮歯を試しに入れてみて、歯ぐきの自然
な立ち上がりはもちろん、頬や舌、唇の動きや顔貌との調和を確認します。頬や舌、唇の
動きは仮歯を用いて機能的な型どりを行い再現します(↓)。
失われた歯ぐきが機能的に再現され、口腔組織と調和が得られていないと、たとえ理想的
な位置に人工の歯が並んでいても、円滑な咀嚼はできないでしょう。
人工の歯とインプラントをつなぐ歯ぐきの部分は、ただピンク色をしていればいいという
訳ではありません。口腔組織と機能的に調和させる必要があります。人工の歯に対するイ
ンプラントの位置付けは、それらの間に介在する人工の歯ぐきの形態も考慮して決定され
る必要があるということです。